「会社員→作家」副業時代を経た31歳が鳴らす警鐘 知っておきたい「本業に集中しないデメリット」

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本当に、「まずは暮らしがあって、そのリソースの一部を活用して仕事をしている」という意識で全員が働くことが、当たり前になってほしいです。

そうすれば、違う会社で働きたい人はまたもう半分で働いたらいいし、家族のことをやりたい人は半分を家族のことに使えばいい、というふうになる。自分の会社が好きだったら、普通の2倍使えばいいわけですし。

みんな100パーセントで仕事するの、やめよう、って思います。

メンタルを壊さずに済む社会になってほしい

―たしかに、育児をしている人も、副業をしている人も、そのほうが「泣かずに済む」わけですね。

私が会社で働いてたとき、お子さんがいらっしゃる女性の上司が多かったんですが、働きながらお子さんを育ててる様子を見てなんだか「兼業に似た大変さがある……」と思っていたんです。もちろん命を預かっているから、子育てのほうが仕事よりも重圧が大きいのですが。だけど時間のなさや、限界具合を他人にわかってもらえない大変さは同じかも、と。

そういう意味で、会社を100パーセントで働かなきゃいけない社会がもう限界じゃないか、と思います。「半身」が当たり前になったほうがいい。

趣味を楽しみたい人もいるわけだし、副業をやりたい人もいるわけだし、育児をしたい人もいるわけだし、そういうみんなが生きやすい、メンタルを壊さずに済む社会になってほしいです。

―本当にそのとおりですね……。泣きながら副業しないで済む世の中を模索したいです。

そして私は今日のお話を伺って、りょかちさんのキャリアも今後とても楽しみになったのですが、憧れの方とかいらっしゃいますか?

えー! そうですね、田辺聖子さんみたいになりたいかもしれない! 田辺聖子さんの作品って、エッセイだと明るくて親しみやすいけど、どこか可愛らしいじゃないですか。小説もエッセイも面白い。なんでも書くし、本人も楽しい。憧れますね。

―素敵です。令和の田辺聖子さんになるりょかちさんの道のり、応援してます!

泣きながら副業してる
本連載は月2回の更新です。連載一覧はこちら
三宅 香帆 文芸評論家

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みやけ かほ / Kaho Miyake

1994年生まれ。高知県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。天狼院書店(京都天狼院)元店長。2016年「京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う本ベスト20を選んでみた。 ≪リーディング・ハイ≫」がハイパーバズを起こし、2016年の年間総合はてなブックマーク数ランキングで第2位となる。その卓越した選書センスと書評によって、本好きのSNSの間で大反響を呼んだ。『人生を狂わす名著50』(ライツ社刊)、『女の子の謎を解く』(笠間書院)『それを読むたび思い出す』(青土社)など著書多数)。4月『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)を発売予定。

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