フォロワーや「いいね」の数が及ぼす危険な影響 数字の影響を受けやすいという人間の脳の弱点

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そして今では、ひとりの人物がどれだけ「有名」かを、フォロワーの数、閲覧者や視聴者の数、その人がすることについた「いいね」の数で判断できるようになったが、そうした数字が大きくなるにつれて、そのセレブリティの発言がより重要だと思ってしまう危険がある

「フォロワーが多いのだから、真実がいっぱい詰まっているにちがいない」――そうした考えは、ソーシャルメディアのフォロワーを買うことができるという事実によって、ますます不快なものになる。

何千人もの人たちが抗議したはずなのに

同じように、一種の「数字精神症」から生じる抗議行動もある。

それは、自分自身で考えたからではなく、とてもたくさんの他の人たちがその問題を重要だと思っているようだからという理由で、その方向に引きずられるものだ

チョコレートの詰め合わせの箱「アラジン」からプラリネチョコレート「トリリンナット」の姿が消えたときのことは、よく覚えている。オンラインで反応した何千人もの人たちの悲鳴にも似た抗議の声を、新聞が伝えたからだ。

チョコレートメーカーが「トリリンナット」を詰め合わせから除外することにしたのは、他のプラリネチョコレートより製造原価がはるかに高かったからだが、その声を聞いて単独の商品として販売することを決めた。

だが残念なことに、実際に買う人はとても少ないことがわかり、まもなく販売をあきらめざるを得なくなった。あの抗議の声については、何も言うことはなさそうだ(ミカエル)。

(翻訳:西田美緒子)

ミカエル・ダレーン ストックホルム商科大学教授

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Micael Dahlen

ストックホルム商科大学の教授。経済や幸福、福祉を中心に研究している。幸福や人生の意味、邪悪さ、テクノロジー、人間の行動などのテーマの本を執筆している。世界的に高く評価される講演者であり、ポッドキャストのホストで、自らを「Asktronaut(質問飛行士)」と称している。スウェーデンのストックホルム在住。

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ヘルゲ・トルビョルンセン ノルウェー経済高等学院(NHH)教授

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Helge Thorbjørnsen

ノルウェー経済高等学院(NHH)の消費心理学を専門とする教授。人間の行動や意思決定、とりわけテクノロジーがそれらに及ぼす影響に関心を持っている。幸福やウェルビーイング、行動経済学、イノベーション、広告などをテーマとして、研究や授業を行なっている。多くのビジネスやテック系のスタートアップ企業に関わっており、さまざまな企業や組織の会長や役員を務めている。ノルウェーのベルゲン在住。

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