――自分と他人の人生を比べることで、自分は人より「普通だ」「幸せだ」と感じたいと。
ただ、他人と自分を比較する回数が多ければ多いほど、幸福度が下がるという研究結果もあります。だから、毎日、他人がどうであるかを気にする時間を減らしている人ほど幸せなんです。
――しかし、SNSによって他人のことを気にかける人が増えています。
SNSは、私たちを互いに比較させるだけのものです。そしてもちろん、私たちが比較しているのは非現実的なイメージです。
これは今に始まったことではありません。テレビや雑誌を見れば、こんな生活であるべきというイメージが出てきますが、誰もそんな生活はしていません。
そして、インターネットやSNSはさらにこうしたイメージを助長しています。これは特に若者に大きな影響を与えています。SNSで見る理想的な生活を見て、それが現実ではないと捉えられないのです。
孤独問題は1950年代から悪化する一方
――孤独や社会的孤立の問題は、ハーバード大学が調査を始めた当初より悪化していると思いますか?
実のところ、何十年もの間、悪化の一途をたどっています。
アメリカでは1950年代から記録が始まっています。政治学者のロバート・パットナムは『ボウリング・アローン』という本を書きましたが、この本では1950年代からアメリカ社会において人々が他人への投資を減らしている、すなわち、人と過ごす時間が減っている様子を描いています。
これはアメリカの各家庭にテレビが設けられたことと関係していると考えています。人々は外出しなくなり、頻繁に人を家に招くこともしなくなりました。礼拝にも行かなくなり、クラブやその他の地域団体にも参加しなくなった。こうした状況は1950年代以降、どんどん悪化しています。
こうした傾向をさらに加速させたものの1つが、デジタル革命であり、SNSだと私たちは考えています。
――孤独や社会的孤立の深刻さと経済発展との間に関連性はあると思いますか?
どうでしょう。あなたは、どう思う?
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