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孤独の大家が語る「人が80代になって後悔する事」

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――技術的な発展と経済的な発展はほぼ連動しているので、そう考えるのが自然だと思います。

経済発展をしているということは、格差も大きくなっているということです。日本はどうかはわかりませんが、アメリカではそうです。格差がどんどん広がる中で、人々は食料や家賃を賄うために苦慮するようになっています。

多くの人が仕事を2つも3つも仕事を掛け持ちしているので、家族と一緒に夕食を取ったり、週末にくつろいだり、人と会ったりする時間が減っています。経済的な不公平は社会的孤立を悪化させると思います。

被験者たちが80代になって最も後悔していたのは

――では、孤独や社会的孤立は、発展途上国よりも先進国の方が深刻な問題だと言えますか?

例えば、インドを発展途上国と呼ぶか先進国と呼ぶかはわかりませんが……多くの人々が村から都会へと移り住んでいます。中国でも同じことが起きています。若者が就職のチャンスを求めて大都市に移り住むと、家族を残して出て行くことになります。

結果、例えば祖父母は孫の面倒を見ることができなくなったり、子どもができた時に必要な子育ての援助を親や祖父母から受けられなくなります。

また、村や小さな町から大都市に引っ越した場合、旧交を温めることは容易ではありません。これは、先進国は当たり前のことですが、社会的構造が急速に変化している発展途上国でも起こっていると私たちは考えています。

ウォールディンガー氏は家族と「十分な時間」を過ごしてきたのか(撮影:ヒダキトモコ)

――人は希望をかなえるために、そしてより豊かになるために懸命に働くのに、気がついたら以前より孤独になっていると……。

その通りです。

被験者たちが80代になった時に、自分の人生を振り返って一番後悔していることは何かと尋ねたところ、一番多かった後悔は、仕事に時間を費やしすぎて、大切な人たちと過ごす時間が足りなかったということでした。

――ご自身は、家族と十分な時間を過ごしてきたと思いますか?

どれだけ過ごしても「十分」ではないですね。ただ、この研究をしていたいこともありますし、私の父はいつも働いていて、大人になるまで父のことをよく知らなかったので、自分自身は父親の役割を果たしたいと、時間を計画的に使うようにしました。

今となっては、それができて幸運だったし、それができる仕事を選ぶこともできました。ただ一方で、私のキャリアは多くの同僚よりも遅れていました。仕事を減らして家族との時間を増やすことを選んだからです。

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