前編:映画『国宝』のモデル?「坂東玉三郎」という深淵
──真山さんが書く小説は現代社会に対する批判が全開です。玉三郎さんの伝統芸能の世界とはかなり距離がありますよね。
まだデビュー前、小説の投稿をしていたころ、「スピルバーグになれ」と言われました。どういうことかって聞いたら、自分が本当に書きたいもの、やりたいものは後にとっておいて、まず面白いものを書いて有名になりなさい。有名になれば、難しいのを書いてもみんな読んでくれる、と。
スピルバーグも『ジョーズ』や『未知との遭遇』があるから、『カラーパープル』や『シンドラーのリスト』をみんなが見てくれる。最初に『カラーパープル』作っても誰も見てくれないよ、と言うんです。
まず、面白いものを書きなさい、と。それがデビュー作の『ハゲタカ』です。『ハゲタカ』は、最初から「平成の歌舞伎」を書こうと思っていました。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら