「ボーナスがやる気を引き出す」と考える人の誤解 「外発的動機付け」が抱える深刻な問題とは

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そうなる理由を考えてみよう。

計測していると、私たちは自分が計測していることに、より大きな注意を向けるようになる。歩数を数えているなら歩数が気になる。ページ数を数えているなら何ページ読んだかを確かめる。

そして自分ではもっと遠くまで、あるいはもっと速く歩きたいと意識しなくても、調査の結果からは計測によって成績が上がることがわかっている。

ジョギング中に心拍数、速度、距離を計測していると、最初にジョギングをしたいと思った理由よりも、少しずつそれらの数字に注目するようになっていく。

計測値および外発的動機付けに注目が移っていくために、かつては前向きな楽しい活動としてはじめたのに、楽しさより役に立つからという気持ちが強まる

新鮮な空気を吸い、好きな音楽を聴きながら自然を体で感じるのが好きでジョギングをはじめた人も、フィットビットやストラバにつながったとたん、その内発的動機付けは少しずつ実績、効果、外発的動機付けに置き換わってしまう。

子どもを対象とした愉快な同様の研究も、この結果を裏付けている。

たとえば未就学児に、ニンジンを食べると数を数えるのが上手になるからニンジンを食べなければいけないと言うと、他の子どもよりニンジンを食べる量が減り、味もまずいと思ってしまう。子どもが絵を描いたからと、ご褒美を与えると、その子どもはまもなく絵を描くのに飽きてしまう。

内発的動機付けではなく外発的動機付けに基づいた活動は、魅力に欠け、楽しみも薄れる

ニンジンを食べるのは退屈、ジョギングは課題、本を読むのは努力に変わってしまうのだ。

ボーナスなどの「ご褒美」が裏目に出る

私たち人間はよく外発的動機付けを利用して、他の人の実績を高めようとする。

親は子どもに褒美としてアイスクリームとチョコレートを与え、会社は給料とボーナスで社員にやる気を出させる。このやり方は、少なくとも短期間なら、ときには効果を発揮することもある。

ところがすでに見てきたように、外発的動機付けは私たちの心の中の動機付けを、あっという間に使い尽くしてしまうのだ。自分が大好きなことをやっても、金銭を受け取っていると、まもなく負担を感じるようになる。

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