研究の結果はまちまちのようだ。スマートウォッチ、歩数計、その他さまざまな健康データの記録が及ぼす効果を調べた(少ししかない)対照研究では、その人の健康と成績に対する有意なプラスの影響が見られたものの、比較的弱いものにすぎない――減量に関しても、また運動の頻度、強度、成績についても、影響は小さいということだ。
フィットビット、アップルウォッチ、その他自分自身の健康や成績を監視できる方法を用いれば、少しだけ速く走れ、少しだけ多く体重を減らし、少しだけ成績が上がる。だが、あくまでも「少し」なのだ。
一方で、人によって比較的大きな個人差がある。一部の人には効果があるが、一部の人には効果がない。また、そうした効果は比較的短期間しか続かず、一時的なものにすぎないという傾向がある。
どうしてそうなるのだろうか?
デューク大学の研究者による興味深い研究
デューク大学の研究者ジョーダン・エトキンは、自己定量化、成績、意欲に関する一連の興味深い研究を行なってきた。
ある実験では、参加者にエクササイズや読書といった前向きになれる活動をしてもらった。
そしてそのうちの半数には、それぞれの成果(歩いた距離や読み終えたページ数)を数字で伝え、残りの半数には何も伝えなかった。最後に参加者の成績と意欲のレベル、そして幸福度を計測し、さらに実験が終わった後も参加者がその活動を続けたいと思うかどうかも調べた。
では、どんなことがわかったのだろうか?
他の多くの実験と同じように、自分自身の行動を監視して数値化するというこのやり方をすると、わずかに実績が上がった。自分の成果がわかる数字を知らされていた参加者は、少しだけ速く、少しだけ長く歩き、少しだけ多くのページを読んだ。
ところが意欲は薄れていき、実験が終わった後も活動を続けたい人は減ってしまった。
自己定量化をしていると、時がたつにつれて好きだと思う気持ちが弱まり、その活動を行なう時間が短くなっていく。
また、自分の成績を記録していた人たちの満足度と幸福度は、まったく同じ活動をして計測と数値化をしなかった人たちより低かった。
その結果は、エトキンが参加者に自己定量化を強制的に指示した場合も、参加者が自発的に自己定量化を選んだ場合も、同じだった。