「経営者の思い込みによる失策で傾いた会社を、なぜ支援するのか」。6月29日午前10時に開会した、ANAホールディングス(HD)の株主総会。開始から50分ほどが経った頃、2人目に質疑に立った株主から厳しい口調の質問が飛び出した。
「失策で傾いた会社」とは、今年1月に民事再生法適用を申請したスカイマークのことだ。ANAHDは投資ファンドのインテグラルなどとともに、今年5月にスカイマークとのスポンサー契約と株主間契約を結んでいる。
スカイマークが提出した再生計画案では、ANAHDはスカイマークに16.5%を出資し、両社は共同運航(コードシェア)を始めることになっている。こうした支援策に対し、冒頭の株主は「なぜ首を突っ込むのか、違和感を禁じえない」と不満をあらわにした。
会社側の回答は?
支援の理由に関して、グループの経営戦略を担当する長峯豊之・上席執行役員は「コードシェアによって、当社にとっても路線ネットワークの拡充を見込めるため、競合他社に対して優位性を発揮できる。結果としてグループ全体の収益性向上につながる」と回答。
また、今回のスカイマークと同様に、ANAが事業再生を支援してきたAIR DOやスカイネットアジア航空(ソラシド・エア)ともコードシェアを行った結果、双方にとってメリットがあり「ウィンウィンの関係になっている」(長峯氏)ことを強調した。
今後の焦点は、8月5日に予定されているスカイマークの債権者集会だ。前出のスカイマーク案と、大口債権者である航空機リース会社のイントレピッド・アビエーションが提出した案の2つの再生計画のうち、集会で可決された案に沿ってスカイマークの再生が進められる。長峯氏は「われわれの再生計画案が賛成・可決されるよう精いっぱい努力したい」と語った。
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