総会後、スズキOBの株主は「修会長は100歳まででも、120歳まででも(トップを)やってほしい」と感想を述べた。今年で85歳を迎えた鈴木修会長兼社長の巧みな進行で、和やかな雰囲気は最後まで変わらなかった。
1978年以来、38年連続で”司会”を務めてきただけあって慣れたもの。質疑応答では、株主の質問にまず修会長が簡潔に答え、その後は担当役員に振り、最後に自身がまた一言感想を述べた。
リコール問題については「ご心配をおかけして大変申し訳ない。技術担当の本田(治)副社長」国内の軽自動車の市場動向について「ご承知のように前年を下回る発表がなされている。そういう点をご心配されていると思う。販売の田村(実)副社長」と、てきぱきと振り分ける。
「お互い後期高齢者ですから」
スズキ車に乗っているという男性から次世代技術について問われると、
「お車ありがとうございます。乗っていただいて恐縮です。開発を担当している青山(市三・専務執行役員)くんに説明させる」
女性株主から7人乗りの小型車開発をリクエストされた際には、質問の意味を取り違えたことに気付き、
「私が間違えちゃったので申し訳ありません」
大正15年生まれの男性には、
「お互いに後期高齢者でございますから、がんばりましょう」
といった具合だ。
出席株主は昨年より2人少ない567人だったが、質問は8人9件と前年の5人7件から増えた。だが、スズキにとって「最大の経営リスク」といわれる後継問題の質問は出ずじまい。「余人を持って代え難い」。この日、総会に出席した多くの株主はそう思ったはずだ。
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