トヨタ、部品会社に示した異例の”配慮” 半年に一度の価格交渉を見送り
出揃った乗用車メーカーの中間決算で目立ったのは、トヨタ自動車のすごみだった。
2014年9月期の営業利益は1兆3519億円と、半期ベースでは7年ぶりの最高益を達成。これを受けて通期業績見通しを上方修正した。国内やアジア市場の落ち込みから、グループ総販売台数見通しは15万台引き下げたが、1010万台と2年連続で1000万台の大台を見込む。
原価改善の進捗や販売価格の改定に加え、前提となる為替レートを1ドル104円と従来より3円円安に見直したことも、利益を押し上げる。通期の最終利益は初の2兆円に達する見通しだ。
円高の”抵抗力”を強調
11月5日の決算会見の場で、小平信因副社長は、「リーマンショック前の08年3月期は1ドルが114円だった。今回は104円。(円高による)為替のマイナス影響は1兆円強あるが、営業努力や原価改善努力で、(当時の業績を)上回る結果になった」と、胸を張った。リーマンショック前のピークだった08年3月期の最終利益は1兆7178億円。そこから10円も円高になっていることを強調し、最高益がアベノミクス以降の円安の恩恵だけ、との見方を否定した。
ただ、なりふり構わず、利益を捻出しているわけではない。例年との違いは、サプライヤーに対する“はからい”だ。トヨタでは半期に1度、部品の価格改定交渉を行っている。改定といっても既存の部品は、半期ごとに1%前後値下げを取引先に求めるのが通例。実際、今年度の上期も1%弱の値下げを決めた。が、下期はこの値下げを見送った。追加的なコストの削減に踏み込まなかったのだ。
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