トヨタ、部品会社に示した異例の”配慮” 半年に一度の価格交渉を見送り

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一方、大手で変調が見られるのがホンダ。昨年投入した新型「フィット」の度重なるリコール影響などから、計画していた新車の投入スケジュールが遅延。販売計画は乗用車メーカー8社の中で最大となる21万台を引き下げた。想定を上回る円安に助けられ、通期の営業利益は従来の計画を確保する見通しだ。

もっとも、下方修正後の販売計画でも、ホンダとして過去最高。前期からの増加台数でも他社を上回る。要は元の計画が高過ぎただけ。ただ、国内の販売計画が下振れしたことで、取引のあるサプライヤーは軒並み業績修正を強いられている。

ある系列部品会社の社長は「計画はやや甘いと感じていたが、ホンダが『やる』と言っていたので」と唇をかむ。トヨタが値下げ要請を見送ったことには、「ホンダさんにも支援をお願いしたいが……」と言葉を濁した。

円安進行で業績は上振れも

日産自動車も販売計画を引き下げたが、為替想定を円安に見直し、通期の利益予想を据え置いた点では、ホンダと同じ。「収益性の高い北米が伸びており、台数引き下げのインパクトは小さい」(西川廣人取締役)という。

大手3社を上回る増益率を達成したのは、マツダや富士重工業。海外の販売が好調なうえに、輸出比率が高いことから、円安メリットも強力な追い風となっている。その反面、インドに強いスズキ、東南アジアを得意とするダイハツ工業は、対ドルでの円安効果は限定的だ。

多くが販売計画を引き下げたが、各社とも業績は高水準。為替動向次第では利益の上乗せ余地もありそうだ。

「週刊東洋経済」2014年11月15日号<11月10日発売>掲載の「核心リポート02」を転載)

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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