今回の株主総会は、今年4月に就任した片野坂真哉社長が初めて議長を務めた。
別の株主が今後の抱負を問うと、片野坂社長は「2020年の東京五輪やその後に向けて設備投資が増える。かと思えば、現在世界で流行しているMERS(中東呼吸器症候群)の感染拡大も懸念されている。航空会社は数多くのリスクに突然直面するので、財務体質を堅牢なものにしていく」と表情を引き締めた。
経営への“注文”という意味では、路線網が広がっている新幹線への対抗策を問う声が複数聞かれた。ある株主は「この春開業した北陸新幹線は東京―金沢間が最速で2時間28分。航空側の勝負にならないほどの負けだ。今後の戦略をうかがいたい」と問いただした。
HD傘下の事業会社、全日本空輸(ANA)で営業・マーケティングを担当する志岐隆史・常務取締役は「北陸の路線では、この春から低価格運賃を投入してきた。ただ、搭乗者数は半分ほどに減り、客単価は以前の8割ほど。厳しい状況になっている」と状況を分析しつつ、「いろいろな対策をとっていくが、お客様に乗っていただくことが何よりの支えなので、応援してもらえれば」と述べるにとどめた。
質問は「ナッツリターン」にも及んだ
海外の航空会社での出来事に関係する質問も出た。大韓航空での「ナッツリターン」事件を受けた「ANAでは起きないのか」との問いに対し、殿元清司・ANAHD専務取締役は「当社についてはまずない。経営陣についてもグループコンプライアンス規定を順守している」と答えた。
一方、独LCC(格安航空会社)のジャーマンウィングスで起こった、パイロットの精神疾患による墜落事故に関連して、「健康管理はどのようにしているのか」という問いもあった。これに対しては、長峯上席執行役員から「パイロットは航空法に準拠して、メンタルケアを含めた健康管理を行っている。(専門機関の)航空医学研究センターとも連携している」との回答があった。
ほかにも、「運賃システムが複雑だ」「株主優待でラウンジに入れてほしい」「羽田空港発着の国際線に米国東海岸線を設けてほしい」といった、利用者の目線での株主からの質問・要望なども聞かれた。
総会の所要時間は1時間53分(昨年は2時間12分)、来場株主数は3344人(昨年は3317人)だった。「剰余金の処分」「定款一部変更」「取締役10名選任」「監査役2名選任」「取締役に対する株主報酬等の額および内容決定」という5つの議案はすべて、賛成多数で可決された。
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