任天堂の岩田社長とのやり取りで活用した"柔術" 仕事における「相手を理解すること」の重要性
私はもちろんいいですと答えたが、問題が1つあった。私は背が高いが彼女は小柄なため、私たち2人をフレームに収めるのが難しかったのだ。いたずらっぽい笑みを浮かべて目を輝かせ、岩田氏が助け船を出してくれた。娘さんの携帯を取ってカメラマン役を引き受けて、2人の写真を何枚か撮ってくれた。写真を見て彼女は満足げだった。
私は人間関係がもたらす力を信じている。岩田氏は私の上司だっただけではない。私のビジネスに対する洞察力を評価してくれただけではない。
彼は友人であり彼との友情があったからこそ私は任天堂で成功し、人生においても成功することができた。だからといって、ビジネスにおいてみんなと仲良くすべしということではない。つまり、相手をよりよく理解するほど、共同作業でより効率よく最大の成果を上げられるということだ。
友人との別れへ
私の中では、岩田氏の病室での楽しかったひと時の隣には、その1年後に開かれた葬儀の記憶が並んでいる。それは私の中に深く刻まれている。私たちは東京に着いてから別の飛行機で大阪に飛んで、そこから故人との別れがなされるお寺まで電車で行く計画だった。
これは異例のことで、いつもなら新幹線という高速の列車に乗って京都に行く。電車のほうが少し時間はかかるがより便の数が多い。いずれにせよ、故人との対面は当日の夜に行われ、翌日が葬儀ということで、一刻を争う状況だ。
今回はNOAを代表して、私を含む数人で一緒に旅をしている。私たちは飛行機のトイレで喪服に着替えた。飛行機が迫りくる台風のせいで激しく揺れていたため、私みたいに体の大きな人間には大変だった。
飛行機は予定より遅れて到着し、次の便との接続がギリギリだったため、フライトアテンダントが他の乗客にお願いして、先に私たちを降ろしてくれた。入国審査でも迅速に手続きしてもらったが、通過すると、大阪行きの次の便は遅れるか、あるいは即座に運航中止になるかもしれないと知らされた。
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