任天堂の岩田社長とのやり取りで活用した"柔術" 仕事における「相手を理解すること」の重要性

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メールでやり取りする際、彼は「結構です。日本ではそういうことはしない。ビジネスパートナーは互いに病院を見舞うことはないから」と返事をしてきた。

だが私は行くと言って聞かなかった。夏が終わってからはしばらく日本に戻る予定がないので、会いに行きたいと説明した。彼がどんな容態なのか知りたかったのだ。

岩田氏は来なくていいと押し通し、「レジー、会社から私を見舞いに来た人はいない」と再び書いて寄こした。私はビジネスの用件で訪問するつもりはない。こう返事を送った。

「失礼ながらミスター・イワタ、私はNOAの社長としてではなく、友人としてあなたを見舞いたいのです」

この最後の一押しによって、彼は笑って折れてくれた、そう思いたい。私に根負けしたと悟ったときに、彼はかすかに笑みを漏らしたものだ。彼は態度を和らげて、見舞いを許可してくれた。

岩田氏は私の見舞いをすごく喜んでくれた。彼の奥さんと娘さんもそこに居合わせていた。ビジネスパートナーの見舞いというよりも、友人のプライベートな見舞いとして迎えてくれたわけだから、私は嬉しかった。

人間関係がもたらす力

病室に入ると、岩田氏が病院のガウンを着て満面の笑みを浮かべて立っていた。私は岩田氏を見ていつも通り、握手をした。そのまま打ち解けたプライベートな会話に入り、彼の回復具合について聞いた。元気そうだ。顔は赤みがかっていて健康状態は良好であるように窺えた。

小柄な奥さんを紹介し、英語がまったく話せない彼女の通訳を務めてくれた。20代くらいの娘さんも紹介してもらった。彼女は私と会えてすごく喜んでくれた。「レジー、娘は君の大ファンなんだ」と岩田氏。「本当ですかミスター・イワタ。ご家族の中に私のファンがいるなんて」と私は返した。

岩田氏はクスクス笑って、通訳をしてくれた。おかげで、娘さんと私は軽い冗談を交わすことができた。彼女は携帯電話を取り出して、この病室で一緒に写真を撮ってくれませんかと言う。これを聞いて岩田氏は笑い、お願いできないかと私に言うのだった。

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