「会社法」では、例えば親会社や子会社の役員、あるいは経営陣の親族などは社外取締役になれないことになっています。
ところが、関係会社の役員なら大丈夫。20%を持つ大株主企業の役員でも、社外取締役になれてしまうのです。これは大株主企業の意向を代弁することになり、属性としては偏っているはずです。
あるいは元役職員でも、10年以上が経過すれば独立性があると見なされて就任できます。しかし、なぜ10年なのか、10年で本当に独立したといえるのか、疑問が残ります。
また主要取引先の役職員はダメというルールはありますが、「主要」の範囲が明確ではありません。例えば親会社的に支配されているとか、最大の取引先などが該当するらしいのですが、それではまだまだ狭い。
社外取締役は独立性を重視すべき
独立性を重視するなら、例えば我々は、政策保有株主である企業の役職員・元役職員はダメだと考えています。
さらに細かいことをいえば、親会社の株を十数%も持つ投資ファンドの幹部社員が、上場子会社の社外取締役になっているケースがありました。東証のルール上、これは問題ありませんが、利益相反になる可能性があります。
もし親会社が子会社を100%買収しようとしたとき、親会社の株主としてはできるだけ安く買ってほしいし、子会社の株主としてはできるだけ高く売りたいわけです。
その場合、この子会社の社外取締役はどちらの味方をするのか。
実は我々は子会社に投資していたので、当人に直接お尋ねしたことがあります。答えは曖昧模糊なものでした。
「私がそのとき、適切と思うように行動します」
これでは、社外取締役としての役割を果たすことは期待できません。あくまでも子会社の一般株主の利益を最大化すべき立場なのです。それ以外の利益を代表しないよう、ここはルールの改正が必要でしょう。
また同じく我々の投資先企業で、取引先の元副社長が社外取締役に就いていたところもありました。この取締役の立場も利益相反になりやすいでしょう。
そこで我々は、当人にこうお尋ねしたことがあります。
「もし取締役会でその取引先との契約について議論になったとき、あなたはどちらの利益を優先しますか?」
「そういうときは議決を棄権します」
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