日経平均にはあまりこだわりすぎないほうがいい 日本株の上昇は、むしろこれから本番を迎える
報道では「約34年ぶりの史上最高値更新」「4万円台到達」などと言って、時代の区切りのように喧伝しているが、1989年の水準など、とっくに更新していたのである。
1989年のトヨタのPERは25倍だった!
さて、日経平均が3万8915円をつけた1989年末当時、現在も存続している銘柄のなかで、バリュエーション(株価指標で見た企業評価価値)を見てみよう。
まず低PER(株価収益率、実績ベース)から見ると、最も低いのは富士フイルム(4901)の24.1倍、次はトヨタ自動車(7203)の25.2倍、その次はホンダ(7267)の32.3倍だった。また、PBRではトヨタの2.44倍、富士フイルムの2.44倍、リコー(7752)の2.67倍の順に低かった。
一方、予想利回りでは、最も高いのは関西電力(9503)の0.996%、次は日産自動車(7201)の0.952%、その次は三菱電機(6503)の0.909%だった。このように、1989年時のPERは最低で20倍台半ば、PBRも最低でも2倍超、さらに利回りは高くても1%未満(ちなみに1%超は東燃の1銘柄)という状況であった。
参考値として当時の東証1部市場と現在の東証プライム市場を比較してみると、1989年時の東証1部はPERが約61倍、PBRが約5.60倍だった。対して東証プライムの2024年4月19日時点は、それぞれ16.09倍、1.40倍となっている。
現在の日経平均の水準は1989年末とほぼ同程度でも、当時は現在東証が進める「PBR1倍割れ企業に対する指導」など、まったく無縁の世界だった。現状は、依然としてプライム市場全体の約40%弱の銘柄が1倍を割れている。1989年当時の高揚感などはまったくなく、どん底からジリジリ上がっていることこそ、長期的な上昇の可能性を秘めている証拠だ。
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