中国の鉄鋼業界が「供給過剰」に苦しむ背景事情 不動産不況で需要縮小も、粗鋼生産は逆に増加

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中国政府は(国の基幹産業である)鉄鋼業界の需給バランスを適切に保つため、対策を立て続けに打ち出している。その柱は、鉄鋼メーカーの粗鋼生産量を全体的に抑制することだ。

中国政府は鉄鋼メーカーに生産抑制を指導する方針だが、実効性は不透明だ(写真は国家発展改革委員会のウェブサイトより)

国家発展改革委員会は4月3日、工業情報化省や生態環境省などの関係省庁と共同で、全国的な粗鋼生産量の抑制キャンペーンを展開すると発表。省エネルギーと二酸化炭素(CO2)の排出削減に重点を置いた鉄鋼業界の構造調整を進め、業界の「質を伴った発展」を促すとした。

生産抑制政策の実効性に疑問

その前日には、工業情報化省が宝武鋼鉄集団、鞍鋼集団など10数社の鉄鋼大手および商社の代表者を集めた会議を召集。鉄鋼業界が直面している苦況について、原因分析や政策提言などの聞き取りを行った。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

とはいえ現時点では、国家発展改革委員会は粗鋼生産抑制の具体策をまだ示していない。同委員会は2023年にも生産抑制を指示したが、政策の執行面で厳格さを欠いたため、実際の生産量は逆に増えてしまった。

「不動産市況が悪化する中、鋼材の需要がさらに落ち込むのは必定だ。需給バランスの調整のカギは供給側にある。しかし(中央政府が)毅然とした対応を取らなければ、生産抑制策の執行は(地方政府などの抵抗により)非常に困難だろう」。ある鉄鋼業界のベテラン関係者は、そう予想する。

(財新記者:羅国平)
※原文の配信は4月3日

財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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