こうした思い込みが、マドフのスキームが極めて長く運用され続けた原因になっていた。
信頼は、信頼する側がされる側と親しくなればなるほど強くなり、さらに強固になっていく。マドフが詐欺に手を染めたのは、ニューヨークの金融業界でリーダーの地位を確立したあとだとされている。
マドフに投資した人の大半は親族や友人、知り合いだった。それ以外の人々は彼らと縁故があった。要するに、マドフは親交を利用して、自分を信用する投資家たちのネットワークを広げたのである。
マドフが逮捕されて数年後、SECの元弁護士はこう語った。マドフの犯罪は広範に及ぶが、その核心は、社会病質者のインサイダーがユダヤ人コミュニティに対して行った「親近感を利用した詐欺」である、と。
あなたをだます人は、こうして馬脚を現す
もし「本能的な直感」をそれほど頼りにせず、相手の経歴をもっと徹底的に調べれば、詐欺の被害に遭う可能性は少なくなるだろう。そうすることで、相手が信頼できる人物なのか、詐欺師なのかを見分けやすくなる。
たとえば親は、教師やスクールバスの運転手など、子どもの世話をする人たちは、子どもの近くにいる大人が身元確認をきちんとしてくれているので、自分で調べる必要はないと考える。
だがあいにく、そうした身元確認は完全ではないうえ、常に全員の身元を確認できるわけでもない。たとえ問題ないと思えても、確認できるなら必ずそうすべきだ。
新たな請負業者を雇う場合には? 相手の評判や身分証明書に目を通し、あやしい仕事をしていないか、顧客をだましていないか調べよう。
かかりつけ医を替えるときには? きちんとした医学の学位を取得していて、医療過誤でたびたび訴えられていないか調べよう(ただし、ウェブサイトに載っているごく少数の偏見を持った患者の意見に惑わされてはいけない)。
新たに業務提携を開始するときには? そのパートナーが前の雇用主の金を使い込んでいないか調べよう。
あまりロマンチックには聞こえないかもしれないが、結婚や婚約、あるいはオンラインデートをする前には、相手のことをネットで調べてもいいかもしれない。
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