ソニー平井社長が語った、「過去10年の敗因」 OB株主から厳しい質問が相次ぐ

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――ソニーは固定費削減のため、リストラをしたが、そうすると有能な人物ほど、社外に出てしまい、自分を守る人も増えてしまう。その状況で本当に社員が感動をもたらす商品など作れるのか。

平井社長 私たちは「技術のソニー」と言っており、エンジニアは特に重要な資産だと考えている。そのため技術の流出防止には力を入れている。

一方、リストラや構造改革の実施という苦しい状況下、社員のモチベーションをいかに上げるかだが、われわれはいかにお客様にいい商品を届けるべきかを社員に説明し、ミーティングでも議論を重ねている。そうした中、評価していただける商品も出てきた。全社一丸となれば、感動を届けられる。そういう気持ちを持てる雰囲気を作っていくのが、トップマネジメントの仕事だと認識している。

広告宣伝費を増やした理由とは?

――東洋経済オンラインの記事によると、「この5年間で広告宣伝費を増やしたトップ100社」で、ソニーは3位。5年前と比べ、379億円も宣伝費を増やしている。一方、「この5年間で広告宣伝費を減らしたトップ100社」の1位がパナソニック。なぜこんなに差がつくのか。広告宣伝費は無駄ではないのか。

平井社長 ソニーグループは、エレクトロニクス分野に加え、金融、エンターテインメントなど、さまざまな事業を全世界の規模で行っている。そのため広告宣伝費の合計金額は大きく見える。たとえば映画の公開に当たって、大規模な宣伝が必要などの事情がある。他社と比べ、数字が違う印象を受けるかもしれないが、業種が多いというのをご理解いただきたい。

――かつてのウォークマンに象徴されるように、ソニーは既存の技術をうまく活用し、ヒット製品を生み出してきた。しかし現状では、技術をどう利益につなげるのか、その秘策が見えない。将来の利益シナリオをどう描くのか。

平井社長 私はソニーのエレクトロニクス分野の事業ポートフォリオを見たとき、二つの軸で考える必要があると思う。一つは、今まで培った商品群、技術を改善していくという軸。たとえばウォークマンは、音質を追求しながら商品を改善していった。もう一つの軸が、新規事業へのチャレンジ。今も「SAP」と呼ぶ新規事業創出プログラムを実践している。この二つの軸でやっていくことが重要だと考えている。

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