テレビやインターネット、新聞、雑誌といった主要なメディアに限らず、鉄道、バスなど交通機関の車内や駅・停留所のほか折り込みチラシなど、日常生活を送っているとさまざまな企業の広告が目に入る。
消費者に近いビジネスを展開しており規模が大きな企業ほど、莫大な広告宣伝費を投下。それにつれて高い知名度を獲得している。一方で広告は企業業績がいいときには金額を増やし、悪いときには広告を減らす傾向がある。ではここ数年で、広告を積極的に増やしているのは、どんな企業なのか。
今回は、この5年間で広告宣伝費を増やした会社のうち、上位100社をランキングした。直近の本決算(2013年10月期~2014年9月期)における有価証券報告書の本表・注記に開示があった企業を対象としており、広告宣伝費と販売促進費が分けられない場合は合算値を用いて算出。業種は金融以外の一般のみに限定した。なお、連結ベースなので海外における広告宣伝活動も原則として反映されているとみられる。
5年前といえばリーマンショック前後で多くの企業が広告宣伝費を圧縮した流れがあった。そこからの回復が基本にはなるものの、増加額や増加率の目立つ会社にはそれなりの理由がある。1位は武田薬品工業だ。5年間での増加額は849億円。約5倍だ。会計基準がIFRS(国際会計基準)に変わったことに伴って、費用計上の考え方が変わったことが大きい。世界各地で新製品販売に伴う広告宣伝活動を積極化していることもある。
サイバーAやDeNAの伸び率も大きい
2位の日産自動車のほか、トヨタ自動車(6位)、三菱自動車(7位)、マツダ(14位)など大手自動車メーカーも目立つ存在だ。リーマンショック時には急激な需要減に苦しんだ大手自動車メーカー各社だが、その後の回復傾向がしっかり反映されている。4位のイオンや5位のファーストリテイリングなどの小売り系大手は店舗網の拡大に伴う、広告活動の積極化が数字に表れているとみてよさそうだ。
ランキングの増加率に注目すると、新興企業の躍進が顕著だ。スマートフォン用ゲーム「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)が大ヒットしているガンホー・オンライン・エンターテイメントは増加率が1486%と何と5年で15倍。サイバーエージェント(21位で増加率242%)、ディー・エヌ・エー(26位で同499%)なども目立つ。
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