ソニー「急回復シナリオ」は課題がいっぱい 5000億円投資で新しい収益柱は育つか
ソニーが4月30日に発表した2015年3月期(2014年度)決算は、厳しい内容だった。売上高8兆2158億円(前期比約6%増)、営業利益685億円(同約2.6倍)。不振のスマートフォンの減損計上などが響いたことで、期初見通しの営業利益1400億円を大きく下回る結果となった。
ソニーにとっては“守り”の年だったといえる。同じく不振だったパソコン事業の売却や、本社・販売会社の人員削減などの構造改革を実施。前述のスマホ減損を合わせ、営業利益ベースでは計約3300億円もの減益要因が発生していた。「(赤字事業の)止血のため、いろんなアクションを実行した1年だった」(吉田憲一郎CFO)。
2015年度計画は実質減益?
流血を止めたソニーが同日発表した2016年3月期(2015年度)の計画は、売上高7兆9000億円(前期比3.8%減)、営業利益3200億円(同約4.7倍)という減収増益計画。数量ではなく好採算品に集中することで減収となるものの、営業利益は2008年3月期以来の高水準で、急回復ともいえるレベルだ。2014年度は上場来初の無配に転落したが、今年は中間配当10円への復配も決めた。
成長を牽引するのは、世界シェア首位のイメージセンサーを含むデバイス分野や、映画、音楽など。だが最大の底上げ効果をもたらすのは、構造改革関連の費用圧縮だ。前期は計3300億円にものぼったが、今期は約450億円にまで縮小する見通し。計2850億円ものプラス影響になるが、これを除くと実質的には減益との見方もできる。
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