ソニー平井社長が語った、「過去10年の敗因」 OB株主から厳しい質問が相次ぐ

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――ソニーでかつて中間管理職をやっていた。会社を離れたときは、「ソニーはダメだ」などと言っていたが、あまりそれを言い過ぎると、本当に会社がつぶれてしまわないか、心配している。なぜこの10年間でソニーはこんなに凋落したのか、本質的にソニーの何がいけなかったのか、ぜひ平井社長に改めてご発言いただきたい。

平井社長 私たちも社内でこの10年間くらいを振り返り、何がいけなかったかを議論してきた。コストとか、市場環境の変化に対応できたのか、などいろいろと要因はある。が、一つだけ商品軸でお話させていただくと、海外の競合メーカーは(為替の影響で)コスト構造が有利な中、積極的な価格で商品群を提供してきた。それが彼らの競争力の源だった。

それに対し、ソニーも、価格とスペックの軸で競争をしようとし過ぎた。それが私の分析だ。本来のソニーは商品の手触りやたたずまいなどがスペックと重なった、感性に訴える商品を出してきた。そのように商品に感性価値を注入していく必要がある。

――ソニーは「ROE(株主資本利益率)重視の経営」と言っているが、たとえばプレイステーションのような製品は、ROEを重視したら出てきたのか。ROE重視はアナリストに受けのいい考えではないか。

吉田憲一郎CFO ROEは当社の経営の目的ではない。経営の目的は、あくまでもお客様に価値を提供すること。ただROEは、われわれの目標であり、規律。当社が経済社会に貢献していることを確認する手段だ。したがって短期的な指標でもないと考えている。

ウエアラブルの伸び率は高い

――スマホ「エクスペリア」の新機種の販売計画はどうか。また米アップルに対抗するために、ウエアラブル(装着型)端末はどのような展開を考えているのか。

十時裕樹・ソニーモバイルコミュニケーションズ社長 エクスペリア新機種の世界一律の販売目標値は控えさせていただく。ただ「Z4」は、国内で6月に発売したが、好調だ。この余波でグローバルな販売も伸ばしていきたい。ウエアラブル端末の市場については、おそらくスマホ市場の2割にも満たない。だが、伸び率は高い。今後、お客さんが本当にほしい機能を調べたうえで、感性価値を載せた商品を出していきたい。

――車載用カメラに注力しているが、どんなところがターゲットなのか。

鈴木智行副社長 車載用イメージセンサーは非常に有望。国内のみならず、海外のお客様にも展開していきたい。AV機器のカメラ用のイメージセンサーで培った独自技術が十分に生かされるビジネス領域だと考えている。

許斐 健太 『会社四季報 業界地図』 編集長

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このみ けんた / Kenta Konomi

慶応義塾大学卒業後、PHP研究所を経て東洋経済新報社に入社。電機業界担当記者や『業界地図』編集長を経て、『週刊東洋経済』副編集長として『「食える子」を育てる』『ライフ・シフト実践編』などを担当。2021年秋リリースの「業界地図デジタル」プロジェクトマネジャー、2022年秋より「業界地図」編集長を兼務。

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