フォーミュラE「裏側から観た」東京大会の意気 チームはこの「東京E-Prix」をどう見たか?

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日産のローランドは、マセラティのギュンターのスリップストリームに入ったあと、アタックモードでパワーアップを図ったが、それでもギュンターに追いつけず、これも見せ場に。そのままトップがギュンター、コンマ3秒遅れてローランドという状態が続いた。

ストレートでローランドは何度かギュンターを抜こうとし、そのたびに私たちは「おおっ!」と声をあげたものの、「今季はまだ効率とエネルギー密度でトップチームに追いつけていない」という日産フォーミュラEチームの西川直志チーフパワートレインエンジニアが私に語ってくれたとおりなのか、どうしても抜くことができない。

途中の事故でイエローフラッグが出たため、2周追加されて35周となった東京での第5戦は、マセラティMSGレーシングが今季、初優勝を飾った。

マセラティMSGレーシングのマシン(写真:Alastair Staley/FIA)
マセラティMSGレーシングのマシン(写真:Alastair Staley/FIA)

「2028年に量産車ラインナップのフル電動化をめざす私たちにとって、フォーミュラEでの勝利は将来につながるもの」と、レース直前にマセラティ・コルセ統括責任者であるジョバンニ・トンマーゾ・スグロ氏が語ってくれたが、まさにその願いがかなった形となったのだ。

東京での第5戦の順位は、1位ギュンター(マセラティ)、2位ローランド(日産)、3位デニス(アンドレッティ)、4位ダ・コスタ(ポルシェ)、5位ウェーレイン(ポルシェ)、6位ナト(アンドレッティ)、7位ミュラー(ABTクプラ)、8位キャシディ(ジャガーTCSレーシング)、9位フラインス(エンビジョン)、10位カマラ(ERT)。

マセラティMSGレーシングの勝利を祝う表彰台の様子(写真:Simon Galloway/FIA)
マセラティMSGレーシングの勝利を祝う表彰台の様子(写真:Simon Galloway/FIA)

ロンドンでの観戦を通じて

私が最初にフォーミュラEを観たのは、2022-23年シーズンのロンドンだった。昨シーズンである。ロンドンのウォーターフロント再開発地区にあるエクセル展覧会センター(ExCel London)周辺で、シーズン最終になる第15戦と第16戦が行われ、それを観たのだ。

このシーズンは、マシンが第3世代になり、レース自体も時間制でなく周回数が決められるなど、いくつもの変更があったとき。シーズン中盤からジャガーTCSレーシングが調子を上げ、ロンドンでエンビジョンレーシングとの優勝争いとなっていた。

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