フォーミュラE「裏側から観た」東京大会の意気 チームはこの「東京E-Prix」をどう見たか?

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以前は「ファンブースト」といって、観戦者が自宅のコンピューターで専用画面の「オーバーテイクボタン」を押すと、押された回数の多い上位5名のドライバーが“5秒だけオマケのパワーをもらえる”といった仕掛けがあった。しかし、2023年にはそれも廃止され、いまやキワモノ的な部分はない。

東京でのレースにはもうひとつ、興味をひかれることがあった。第3戦のディルイーヤ(サウジアラビア)で1位だったジャガーTCSレーシングをはじめ、それまでの4戦を通じて2回優勝したチームがない(ポイント獲得ランキングではジャガーが1位)という状況だったのだ。

 参戦100戦目となるジャガーTCSレーシングのマシン(写真:Jaguar)
 参戦100戦目となるジャガーTCSレーシングのマシン(写真:Jaguar)

コースは「抜けるポイントがほとんどない」(関係者)とされ、果たしてどうレースが展開するのだろうと、ますますレースへの興味をかきたてられたのだった。

一時的なパワーアップ「アタックモード」をどう使うか

東京での第5戦でポールポジションを獲得したのは、2018-19年シーズンから参戦している日産フォーミュラEチーム(ドライバー:オリバー・ローランド)だった。

マヒンドラ(同エドアルド・モルタラ)と、マセラティMSGレーシング(同マクシミリアン・ギュンター)が、残りのマシンを引っ張る形でレースはスタート。中盤になると、ローランドとギュンターがレースを大きくリード。後半は日産とマセラティの一騎打ちの様相となった。

日産は日本のメーカーとして唯一の参戦となる(写真:Alastair Staley/FIA)
日産は日本のメーカーとして唯一の参戦となる(写真:Alastair Staley/FIA)

フォーミュラEがおもしろいのは、「アタックモード」。特定のコーナーの外側にレーン(アクティベーションゾーン)が設けてあり、そこを通るとパワーアップ(300kWから350kWへ)ができるというものだ。アクティベーションゾーンを通過すると、2分と6分、あるいは4分ずつ、計8分のアタックモードが使えるようになる。

ポイントは2つあり、ひとつはアクティベーションゾーンが“理想的なコーナリングラインの外側”にあること。パワーはもらえるが、そのときはタイムが落ちる。もうひとつは、レース中に2回、ここを通過することが義務づけられていることだ。

つまり、いつアクティベーションゾーンを通過し、またどのタイミングでアタックモードを使用するかが勝敗に大きく影響する。

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