消費者の関心は企業の想いへの共感に変わった 所有の喜びだけではもうモノは売れない
3つ目には、お客様自身が情報を発信できるようになったため、クチコミの重要度が上がったことが挙げられます。共感してもらい、ブランドのファンになってもらうことができれば、クチコミによって大きな広がりが期待できるようになりました。ブランドのファンになってもらうためには、一時的なインパクトではなく、ブランドのストーリー(=思想)を愛してもらう必要があります。共感を得られるかどうかが、ブランドとして大切な要素になりました。
これらの変化を受けて、短期的なインパクトから、ブランドとしてのストーリーが求められるようになってきているのです。
「これがいい」と思ってもらえるか
1人ひとりの好みに合わせた多様な商品・サービスが生まれているため、無数のブランドの中で、埋もれないことが重要になりました。
かつては、そもそもの選択肢が少なかったため、お店に並べてもらうことができれば、ある程度の売上を見込むことができました。
ですが、今は、ウェブサイトなどで、自分の好きな商品・サービスを、どこでも、いつでも買うことができるようになったため、代替可能な商品・サービスは、生き残ることが難しくなりつつあります。
「これでいい」ではなく「これがいい」と思ってもらうことが、これからのブランドに必要なことです。そのためには、自社ブランドの強みや魅力を発見し、デザインや言葉で目に見えるようにすることが必要です。他のブランドにはない、ブランドの独自性を可視化することが求められています。
クリエイティブ制作の民主化により、あらゆる人が画像や映像などの制作ができるようになったため、自社内で他の業務の合間にクリエイティブ制作を担うケースなども増えてきています。その結果、デザイナーという職種の技術力や専門性の差が広がっています。
ブランドから発信するコンテンツの量も増え、大きなブランドになると、何十人もデザイナーがいるケースもあります。このような状況においては、1人ひとりのデザイナーが個別に作家性を発揮し始めると、ブランド全体として見た時にブランドがバラバラになってしまいます。
ブランドの思想と世界観に一貫性をつくるためには、1つひとつの制作物の品質を高めるだけではなく、ブランド全体を管理するシステムを構築し、関わるデザイナーが全員でブランドを共創できる状態をつくることが必要です。
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