部下との関係性と成長を両立するマネジメント術 「優しさ」と「厳しさ」の適切なバランスとは

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たとえば、子どもが急流の川に近づいたとしよう。そんなとき「危ない! 近づくな!」と注意しても「大丈夫!」だと言って聞かないとすれば、大声で叱らなければならない。子どもは驚いて泣き出すかもしれないが、命には代えられないからだ。

では、社会人に対して「厳しく叱るべきタイミング」とは?

(1) 取り返しのつかないことが起こるリスクを軽視しているとき
(2) 「当たり前の基準」が下がるリスクを軽視しているとき
(20〜21ページより)

まず(1)だが、このことを説明するために、著者は自身の30年以上前の自身のアルバイト体験を引き合いに出している。

高級レストランのホール係として結婚披露宴の準備をしていたとき、4枚の皿を一度に運ぼうとして、シェフに「心を込めて作った料理を、そんなふうに持っていくな! 料理が崩れたら、どうするんだ!」と激しく叱られたというのだ。

ウエイター経験が長かった著者は、4枚の皿を一度に持って運ぶことに慣れていた。そのため、「絶対やるな」と注意されていたにもかかわらず、忠告を無視した。お客様のために早朝から料理していたシェフの気持ちを考えていなかったため、厳しく叱られることになったわけだ。

だとすればたしかに、リスクを軽視していたということになるだろう。

一方(2)は、現在の著者のようなコンサルタントがとても重要視することだという。たとえば毎朝5分、10分遅れてくる部下がいたとする。何度注意しても「5分や10分の遅刻にそこまで言わなくても」と言い返されたとしたら、怒鳴りたくなったとしても無理はない。

言葉遣いには気をつける必要があるが、「徐々にできるようになればいい」ということではなく、「即刻ルールを守らせなければならない」ときは、なによりもインパクトが重要な意味を持つのだ。

感情をコントロールして「叱る」方法

咄嗟のときであれば仕方がないかもしれないが、基本的に叱るときは感情をコントロールするべき。頭にきて唇が震えていたり、胸の動悸が激しかったりするときは、叱るのをやめたほうがいいということだ。

なぜならそういうときは、感情に振り回されてしまい、本来の目的である「叱る」がうまく機能しなくなるからである。

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