部下との関係性と成長を両立するマネジメント術 「優しさ」と「厳しさ」の適切なバランスとは
そんな、“どうするべきか悩まずにはいられない難題”を突きつけられているからこそ、上に立つ人間は適切なマネジメントの「バランス」をつかみづらいわけである。
ただ、そうはいっても従来の指導のままでいいわけではなく、マネジャーも変わっていかなければならない。具体的には、時代や環境に応じた適切な「バランス」を身につけることが重要だということだ。
しかし、「バランス」とはなんだろう?
考え方もさまざまだろうが、「バランス」に関する悩みの際たるものといえば「優しさ」と「厳しさ」をどう使い分けるかということになるに違いない。そしてそこには、「褒める」ことと「叱る」ことについての基準も絡んでくることになる。
たしかに「褒めて伸びる人」もいれば、「叱られて伸びる人」もいる。したがって、「褒める」のも「叱る」のも簡単なことではない。だが、上司にとってみればとくに頭が痛いのは後者に付随する「厳しさ」ではないだろうか?
そこで今回は、その点に関する著者の考え方をクローズアップしてみたい。
「厳しさ」を持つべき3つの働きかけ
部下を育てる過程においては、当然ながら「厳しさ」が求められるときもある。とはいえ「叱る必要があるから叱る」だけの話であり、日ごろから「厳しく叱りたい」と思っている人はおそらくいない。
だからこそ精神的に負荷がかかるわけだが、上司としての責任を考えると、やはり叱るしかなく、そこが難しいのだ。
なお著者は、部下の問題行動を変えるには、3つの働きかけがあると考えているそうだ。
(2) 注意する
(3) 指摘する
(19ページより)
いうまでもないことだが、厳しく叱っていいのは、重大なリスクを相手が軽んじているときのみ。単にリスクがあるだけなら言って聞かせればいいだけのことだが、そのリスクの重大性を理解せずに軽視している場合は、厳しく叱る必要があるということだ。そういう場合は、いったん相手の思考を止める必要があるのだから。
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