部下との関係性と成長を両立するマネジメント術 「優しさ」と「厳しさ」の適切なバランスとは
現代に適したマネジメントのバランスがある
ビジネスの現場ではしばしば、「辞められると困るので、若者には強く言えない」というようなことばを耳にする。同じく部下の指導法などを紹介したビジネス書でも、部下にはソフトに接することが勧められていることが多い。
当然ながらこうした傾向は、パワハラ防止法をはじめとする働き方改革や、若手人材の不足の影響なのだろう。
だが、厳しく言わないことで、若者は本当に辞めなくなるのだろうか?
そう疑問を投げかけるのは、『若者に辞められると困るので、強く言えません: マネジャーの心の負担を減らす11のルール』(横山信弘 著、東洋経済新報社)の著者である。
そこで書かれていたのは、若者がホワイトすぎる職場に、成長の機会を奪われていると感じて辞めてしまう、というものだった。(「はじめに」より)
つまり上司が「厳しくすると辞めてしまう」と考えている一方、若者は「優しくされすぎると辞めたくなる」と感じているということだ。
もちろんすべての上司と若者との間にこうした齟齬が生じているわけではないだろうが、とはいえそういった傾向は少なからずあるのかもしれない。
では、なぜそんなことになるのか? 著者はその原因を「バランス感覚の欠如」にあると考えているそうだ。
現代のマネジャー層は、上司から厳しい指導を受けてきた世代である。だが、当時よりも働き方がはるかにブラッシュアップされた現代において、自分たちが受けてきた指導法をそのまま部下に対して行うことはできない。しかしその一方、若者を一人前に育てなければならないという責務もある。
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