高評価「FF7リバース」遊んで驚いた"粗隠し"の妙味 フォトリアルな描写に「コミカル」設定を活用

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エアリス
登場人物の「エアリス」。彼女の運命がリメイクでどう描かれるのかが注目ポイントになっている。画像は『FF7リバース』公式サイトより

原作となる『ファイナルファンタジーVII』はローポリゴンのゲームだったが、『FF7リバース』は人物の産毛すら見えそうなほど極めてフォトリアルに描写されている。ただ、デフォルメされていたものがリアルになるわけで、ストーリーやセリフなどがそのままだと浮きかねない。

主人公である「クラウド」たちは、巨大企業「神羅」に立ち向かい星を救う人々……といえば聞こえはいいが、テロリストである。これはデフォルメ表現だからこそ受け入れられたが、リアルにすると重すぎる話だ。

しかし、ゲーム内では遊園地のような場所「ゴールドソーサー」で遊んだり、デートしたりするちゃらんぽらんな内容なのである。ローポリゴンだからこそ、リアルではないグラフィックだからこそ、テロリストが気軽に遊び回るストーリーが許されたのだ。

とにかくコミカルにして、粗を覆い隠す

では、リメイクにおいてこれをどう解決しているのか? ストーリーもリアル寄りにすれば問題はなくなるが、話が大きく改変されてしまう。そこで『FF7リバース』は、コミカルな雰囲気でうまく隠しているのである。

ユフィ
仲間たちが急に踊りだしたりと、コミカルなムービーが多い(画像は『FF7リバース』公式サイトより)

例えば、本作では「ヴィンセント」というキャラクターと出会うシーンがある。彼はいかにもカッコつけているような人物なのだが、初対面のときはあえて機械音痴であることを示して笑わせようとする。

主人公のクラウドも「カッコつけているけれども実はウブ」といじられる場面が多いし、筋骨隆々の「バレット」は仲間がボケたときのツッコミ役だ。暗殺者の忍者「ユフィ」は、その仕事内容と相反するように根っからの明るいキャラクターである。こういった要素は、リメイクによってより強調されているようだ。

このコミカルな雰囲気は、『FF7リバース』のストーリーをうまく覆い隠してくれる。逆にいえば、シリアスだと暗い設定に向き合わなければならないのだ。

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