かまいたち濱家「薬剤師蔑視で炎上」も同情の理由 変数が多すぎると個人の努力で防ぐのも限界が

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一連の炎上を見ていて、まず感じたのは「同じ着眼点でも、異なる着地にできなかったのか」という点だ。なぜ病院と同じ質問が、調剤薬局でも繰り返されるのか……といった疑問そのものは、生活の中で感じたことがある人も多いだろう。

また、長年ネットメディアに関わってきた経験から言うと、ネット空間では、こうした手続きや「お約束」への批判が盛り上がりがちな印象がある。今回の件でも、SNS上では「たしかに体調が悪い時、会話するのはツラい」と、一定の理解を示す声は珍しくない。

問題なのは、番組内では「なぜ聞き直すのか」の理由が示されないまま、個人のイライラエピソードとして消費されたことだろう。「いらん時間」という前提のまま、理屈ではなく感情ベースで話が進み、とくに出演者から反論がないまま話題が変わった結果、一方的な職業蔑視との印象が強くなったのではないか。

出演者だけが悪いのか

ここで浮かぶのが、「出演者だけが悪いのか」という問いだ。

このまま放送すれば、どんな印象を視聴者に残すのか、制作陣の認識が不足していたのではないか。そのくだりがないと番組が成立しないのであれば別だが、そうでなければ、いくらでも編集できるはずだ。実際、動画配信サービスでは現在、該当部分がカットされた状態で公開されているが、とくに違和感はない。

仮に必要なシーンだとしても、他の出演者からフォローがなければ、「※薬剤師さんには処方箋の内容確認が義務づけられています」といったテロップを入れる余地はあっただろう。それを出して、なおバラエティー番組として成立するかは別の話だが、少なくともここまでの炎上にはならなかったはずだ。

ただでさえ、ここ最近は相次ぐ不祥事によって、アンチテレビの風潮が加速している。ドラマ「セクシー田中さん」(日本テレビ系)の改変問題に加え、先日は「逃走中」(フジテレビ系)のロケスタッフが、近隣住民を軽視するような、強引な撮影を行った件も話題になった。

テレビ局の一挙手一投足が「失点ありき」で注目されているなかで、あのトークを無編集で流すとどうなるか……という想像力が欠けていた責任は否定できないだろう。

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