地球外生命体「火星より木星で発見」期待高い根拠 天文学者が語る太陽系最大の惑星の知られざる姿

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2016年12月末、大赤斑のすぐ隣にあるストライプの中で白い雲が突然発生しました。これは、木星大気の下部からガスが沸き上がってきたことの証拠です。

South Equatorial Belt Outbreak と呼ばれるこの現象は、今回だけでなく過去何度も記録されています。それは、木星の大気が安定したものではなく、非常に活発に変化するものであることを示しています。

10年以上もの月日をかけて判明した木星の変化

木星以外に、例えば海王星にも渦が発見されています。ただし、海王星の渦は数年で消えてしまうので、木星の大赤斑とはかなり様子が違います。木星と海王星では、内部で起きていることが違うのでしょう。

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当然と言えば当然ですが、これも長年観測してみて初めて確かめられたこと。木星にはこれまで何機かの探査機が向かいましたが、10年以上にわたって観測し続けた探査機はありません。

ハッブル宇宙望遠鏡は、地球を回りながら彼方の木星を長期にわたって観測し続けています。

今回検出された速度の変化は、地球の1年間あたりにすると時速2.5km以下というわずかなもの。

ハッブル宇宙望遠鏡でも、1年観測しただけではこれを捉えることはできず、10年以上の蓄積が必要でした。

天体写真1枚の美しさももちろん素晴らしいものですが、今回の発見は、じっくり観測し続けてそのわずかな変化を捉えることの面白さを私たちに教えてくれています。

平松 正顕 国立天文台 台長特別補佐、天文情報センター 周波数資源保護室 講師

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ひらまつ まさあき

総合研究大学院大学 先端学術院 天文科学コース 講師(併任)。 東京大学大学院理学系研究科天文学専攻 博士課程修了。博士(理学)。専門は電波天文学、科学コミュニケーションなど。月刊『星ナビ』の連載や、講演、文部科学省「一家に1枚宇宙図」の作成など、宇宙の面白さを共有する活動を積極的に行っている。また、最近は暗い星空など天文観測に適した環境を守る仕事を進めている。著書に『宇宙はどのような姿をしているのか』(ベレ出版)がある。
 

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