(第6回)震災後に加速している製造業の海外移転

国内製造業の設備投資は、10年7~9月期から伸び率がプラスに転じたが、海外現地法人はこれより早く、同年4~6月期から回復している。そして7~9月期からは、海外現地法人は、国内製造業と比べケタ違いに高い伸び率で増加している。経済危機後の回復過程で、企業は国内より海外に投資していることがわかる。海外設備投資の伸び率が1~3月期に高まっているのは、震災後、製造業の海外移転がさらに加速していることを示すものと考えられる。

なお、法人企業統計の1~3月期速報値が示す国内製造業の設備投資はかなり高い値になっているが、これは東日本大震災の影響が反映されていない推計値であることに注意が必要だ(後述の注を参照)。

絶対額で見ると、海外現地法人の投資は国内の投資に比べてどの程度のウエートになっているだろうか。

1~3月期の設備投資額は、80億5509万ドルだ。1ドル=80円で換算すれば、6444億円になる。他方、法人企業統計によれば、同じ時期の国内製造業の設備投資額は4兆1700億円だ。したがって海外投資は国内投資の約15・4%になる。

09年度の海外生産比率(=現地法人売上高÷〈現地法人売上高+国内法人売上高〉)は17・2%であり、現地法人売上高÷国内法人売上高は、20・8%だ。したがって、設備投資における海外法人のウエートは、売上高におけるウエートより低い。しかし、法人企業統計の1~3月期の設備投資額は過大推計であると考えられ、実際のウエートは15・4%より高い可能性が高い。

(注)法人企業統計によると、11年1~3月期の国内の設備投資額は、全産業で11兆5114億円、前年同期比3・3%増。このうち製造業は4兆1700億円、同27・7%増。ソフトウエア投資額を除く製造業の設備投資額は3兆8713億円で、同29・4%増となっている。このように法人企業統計では、国民経済計算と比べ前年同期比が全産業で高く、製造業についてはとりわけ高くなっている。しかしこの速報値は、被災地企業については調査票の回答によるものではなく、全国平均値を基に補完した推計値である。この推計には震災の影響が反映されないため、実勢よりもかなり高い値となっている可能性が高い。なお10年10~12月では、設備投資の海外対国内の比率は16・8%だ。

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