わたしは、特にたいした経験もなければ、経営に関してはまったく何も知らない単なる新人でした。しかし、顧客が知らなかった事実を数字で示すことによって、価値を認めてもらえたのです。
このように、動かせない事実こそが、新人にとって、もっとも有効な武器となります。
たとえば、社内で、非効率だったり、理不尽だったり、無駄だと思えることがあって、それを改善したいと思っているとしましょう。そういうときに、
「○○は非効率だと思います。変えるべきです。危機感をもってください」
こういう言い方をしてしまうと、人には伝わりません。相手の危機感を煽ろうとしても、逆効果です。なぜ新人がそんな偉そうなことを言うのか、と思われてしまいます。
だから、新人であればあるほど、事実を拾ってこないといけないのです。
いくら新人の提言であっても、それが事実ならば、聞いてもらえます。
意見は封殺されることがありますが、事実は封殺しようがありません。
自分しか数えられないデータが有効
「○○がおかしい」と思ったら、まず、事実を集めましょう。集めるときは、大上段にかまえたものではなく、具体的なものを集めるようにします。
たとえば、街角で調査員がカウンターをもって数えている、あのデータのように、ウェブサイトや新聞に載っていない、あなたが数えなければ決して数えることができないようなデータこそが、有効です。
誰が、何を、何回したのか。
どれが、いつ、何回利用されているのか。
こういう数字を集めてきてください。それこそ、カウンターをもって現場調査をしてもいいでしょう。
もしあなたが集めた数字に意味があれば、少なくともそれが完全に無視されることはありません。そして、そういう地道なことをするのが、新人の役割でもあるのです。
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