ただ、搭乗率は振るわない。2014年度の年間平均搭乗率は神戸線58.3%、福岡線50.7%、札幌線58.6%。大手航空会社の担当者に言わせると「採算は単価との兼ね合いもあるが、国内地方路線で6割を切る搭乗率は高くない」。
直近の状況も見てみよう。今年4月の搭乗率は、3路線合計で46.1%(神戸線53.9%、福岡線44.3%、札幌線39.2%)。4月は閑散期のため仕方がないのかもしれないが、大型連休のある同5月でも59.5%(3路線合計)と6割には達していない。筆者はこの5月下旬の平日に、札幌発茨城行きに搭乗してみたが、177席を有するボーイング「737」に対し利用客は50人程度と、搭乗率にすれば3割前後。平日とはいえ閑散としており、満席にはほど遠い状況だった。
茨城空港の2014年度利用者は過去最高の53万7000人。そのうち、スカイマークが41万8000人と約8割を占めている。ただ、採算的に見て楽観視できない状況が続くと、スカイマークが撤退するという観測も絵空事ではなくなってくる。茨城空港にとっては死活問題だ。茨城空港を運営する茨城県は危機感を強めている。その現れが、県議会に通した「地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金」と称する6億4000万円程度の補正予算。茨城空港の利用客を増やすための切り札だ。
3000円分のクーポンプレゼントで集客なるか
具体的には、5月20日(水)~7月18日(土)搭乗で茨城空港に到着した国内線利用者の先着3万人を対象に、茨城空港内売店や茨城空港近くに2014年7月にオープンした空のえき「そ・ら・ら」で利用できる3000円分のクーポンをプレゼント。
さらに茨城県特産品ギフトカタログから牛肉、米、メロン、イチゴなどの特産品を利用客の自宅に送る。
茨城空港のサポーター組織「IBRマイエアポートクラブ」の会員(無料)になるという条件はあるものの、ギフトカタログだけでも6000円分相当。1人あたりざっと9000円程度の特典が得られる。
これまでにも能登空港(石川県)において、冬の期間、搭乗率を上げる為に各便の数名にカニをプレゼントするといった企画はあったが、搭乗者全員にこれだけのお土産を提供するのは前代未聞。逆に言えばなりふり構わない大盤振る舞いともいえ、それだけ茨城空港が大事な局面にあることの裏返しかもしれない。
スカイマーク以外で茨城空港に定期便で乗り入れているのは、2012年6月(定期チャーター便としては2010年7月より運航)から茨城-上海便を運航している中国のLCC(格安航空会社)の春秋航空のみ。2010年の開港時に韓国のアシアナ航空が茨城-ソウル便を就航したが2011年3月の東日本大震災をきっかけに運休。2013年にチャーター便を数回飛ばした後、ソウル往復の定期便は止まったままになっている。あとは一部チャーター便が運航されているぐらいだ。
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