ピンクを基調にしたカラーリングの機体が特徴的なピーチ・アビエーション。関西国際空港と那覇空港を拠点に国内10、国際6路線(2月21日から7路線)を飛ばすLCC(格安航空会社)だ。
2012年3月に日本初のLCCとして産声を上げたピーチは当初、関空を拠点とすることから多くの専門家から「失敗する」と酷評を受けていたが、これまでの平均搭乗率は約85%と高水準。パイロット不足問題などのアクシデントもはね返し、同じ和製LCCのジェットスター・ジャパンやバニラエア(旧社名はエアアジア・ジャパン)、更には春秋航空日本に比べて頭一つ抜けている。
そんなピーチが和製LCCで「一番乗り」を果たす。東京・羽田空港を発着する路線を新たに飛ばす計画が進んでいるのだ。報道などによればピーチは2015年夏にも羽田-台北(台湾)を就航する方向で検討を進めているもようで、国土交通省も認可に前向きだという。現在、羽田に乗り入れているLCCは香港を拠点とする「香港エクスプレス」と東南アジア最大級のエアアジアグループの「エアアジアX」という外資のみに限られている。
羽田の国際線はさらなる拡充が必要
羽田では2014年春に国際線が大幅増便。東南アジアや欧州などを中心として路線が大幅に広がったものの、2020年の東京五輪開催をにらんで政府が訪日外国人客を2013年比ほぼ倍増の2000万人まで引き上げる方針を掲げる中では、まだまだ国際線の拡充は必要だ。ピーチは、国内のみならず台湾など東アジアでの人気も高い。スカイマークの経営破綻に揺れる国内航空業界において、ピーチの羽田乗り入れが実現すれば明るいニュースとなるだろう。
ただし、利用者の立場になってみるとピーチの就航を手放しで喜べない。台北線にせよ何にせよ、当初ピーチが羽田から発着する時間は夜23~朝6時の深夜早朝帯に限られる見込みとなっているからだ。いくら羽田が都心から近いとはいえ、深夜早朝では公共交通機関の便が悪く、利便性も限られる。
深夜早朝帯に対して昼間帯と呼ばれるのが朝7~夜22時。世界でも屈指の混雑空港である羽田では昼間帯の発着枠は、日本でいうと全日本空輸(ANA)、日本航空(JAL)のような世界各国を代表するフルサービスキャリアを中心に配分され、LCCは入り込めていない。
ANAが株主であるピーチといえど同様で、日中発着枠が配分されてない路線においては、フルサービスキャリアであっても深夜便でしか対応できない路線もある。また、さまざまな事情があり羽田発の米国線や中東線については現時点で深夜早朝帯の発着便しかない。
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