現代人は仕事で、だいたい「無理」しすぎる 生物学の視点から見る「自然」なマネジメント

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他の動物はそんなことはありません。眠くなったら寝ます。疲れたら休みます。腹が減れば食べます。体の欲求に忠実に生きているのです。人間と他の動物との違いは、「脳」にあります。人間は、先天的に体の欲求に背いてしまう脳のトラブルを抱えているのです。「無理をする」「疲れる」「見栄を張る」「ストレスが溜まる」「我慢する」――。こんな困り事が生まれるのは、あまりに高度に発達した脳があるからです。

原因は6000年前から始まった脳の劣化

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人間の脳は、「メタ認識」という、抽象的なことを脳内宇宙で組み合わせ今までなかったものを作り上げられる能力を持っていて、最初は自然に対して有効に発揮されていました。

例としては、弓矢の発明でしょう。しなる枝と弦に、それぞれ役割を持たせて組み合わせるのは、メタ認識がなければできません。これは他のサルにはできなかったものです。ネアンデルタール人も石器しか作れませんでした。

ところが、文明が発達するにつれ、この能力が自然ではなく人間関係に対して使われるようになったことで、「悩み」や「不安」といった負のものが脳の中でグルグルと堂々巡りしてしまうような状態になってしまいました。

スタンフォード大学のある研究者によると、人間にとって脳という臓器がもっともいいコンディションだったときは、今から6000年前、文明ができた頃だったとされています。逆に言えば、文明の発達とともに人間の脳は、実は劣化しているということです。

脳だけに限らず、人間の体は不都合ばかりだと言えます。たとえば、人間の体の何がいちばんおかしいかというと、頭が1.3キロの脳を持っていること。これが重すぎるのです。四足歩行だったらまだいいものを、二本足で立ってしまったがために、こんな重いものを体のてっぺんに載せることになって、首や腰がおかしくなるのです。

「もともと体のつくりからしておかしいのだから、少しでも楽しませんか」

これが、私が言いたいことの趣旨です。私は、私たち生き物は普通の状態がいちばん楽だと思っています。30数億年に渡る生物進化の中で、環境に適応した体の進化と、環境に適応した「普通の生き方」が、遺伝子に刻まれてきました。逆に、無理に働いたりして体を壊したりするのは異常なのです。健康というのは普通の状態をいうわけです。

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