現代人は仕事で、だいたい「無理」しすぎる 生物学の視点から見る「自然」なマネジメント

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自分を鍛えて強くなりたいと思っても、脳がそう思っているだけかもしれない、体はそんなに負荷をかけてほしくないと思っているかもしれません。体が普通の状態でいたいと願うところを、なぜ人間はそうではないことをするのでしょう。わざわざお金と時間をかけてジムに行って、バーベルを上げます。私たち人類が進化し、生きてきた中でやったことのない運動なんてやらなくていいのではないでしょうか。

右肩上がりは社員を潰す

そういう意味では、世の中のほとんどの会社組織が目指している「右肩上がり」も、本来無理のあることだと私は思います。絶対に右肩上がりの売上目標を立てる必要性があるのかということから考え直したほうがいいのです。ルーチンである程度うまく回っていて、社員にそこそこの給料を出せているのなら、「このまま維持していこう」とやっていけばいいのであって、今以上の目標なんていらないのではないでしょうか。

新しいことをやるときや計画を変えるときには、何か理由がないとおかしいと思います。問題が発生したら、それを解決するために何か別のことをやるというのは自然でしょう。赤字だったら、「赤字を抜ける」ことが目標になりますが、そんな問題も存在しないのに、わざわざプロジェクトやプログラムを作り始めるのは不要なこと。なぜ今問題がないのに、無理にでも仕事を作ろうとするのでしょうか。

去年100%の力を振り絞って出したはずの成績を「今年はその2割増しで達成せよ」、それがクリアできたら来年、再来年もまた、というように右肩上がりを要求し続け「とにかく頑張れ」「残業をしてでも働け」と言う。こんな状態が続けば、会社は社員の体にとって「きつい場」であり続けることになります。そうなると、社員が潰れていきます。これは経営者やマネージャーの管理能力のなさと目標設定への勘違いを露呈しているに過ぎないと私は思うのです。

ダイバーシティは当たり前

以上を踏まえた上でマネージャーの仕事は何かと言えば、「社員が定時で帰れるような仕事の分配をすること」に尽きると思います。どこに何人、誰を配置すればそうなるのか、それを考えるのが上司の仕事で、逆に上司の仕事はそれ以外にはあまりありません。

そのためには、ユニフィケーションなる考え方が必要です。最近ではダイバーシティという言葉がトレンドになっていますが、人間は生まれながらに誰しも遺伝子レベルでの多様性を持っているのだから、人間の集まりである会社にダイバーシティくらいあるに決まっています。むしろ大切なのは、ダイバーシフィケーションではなく、ユニフィケーション。異なる遺伝的背景を個性として認め束ねることこそ、マネジメントの肝と言えるでしょう。

たとえば、名前を認めることがその第一歩です。「課長」「部長」という役職名ではなく「〇〇さん」と呼ぶわけです。すると、「課長だから偉い」「部長だから敬う」ということが生じません。逆に、「平社員だから駒のように使っていい」ともなりません。あくまでも役職は、まとめるのが得意な人、動かすのが得意な人、動かされるのが得意な人といったように、単なる役割分担として機能していきます。

同じ意味で、上司が部下に指示をする際も、「やっておけ」ではなく「お願いします」とつける。「なんでこんなこともできないんだ」ではなく、「君はこういうところが苦手らしいから、こうしたほうがいいんじゃないかな」という言い方にするのがいいでしょう。それだけで部下のストレスは減り、パフォーマンスは上がるはずです。

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