入学志願者の減少が止まらない「薬学部」の実態 人気復活のカギは就職先?「起業」する薬剤師も
学内募集に応じた学生や教員が、「薬膳」や「生薬学」の知識を生かし、鼻の通りを良くするためにハッカや菊の花を使ったラーメンを提案。1000円で販売したところ、テレビや新聞で取り上げられるなど好評で、広告効果が高かったことから、同社との取り組みは現在も続いている。
連携協定の背景には、自治体であれば地域活性化、企業であればマーケティングや人材確保、CSRといった狙いが必ずある。そういったニーズに対して、学生たちが学んだ薬や医療、健康といった知識を掛け合わせることで、付加価値を生む取り組みをする。
「これはまさにビジネスそのもので、学生をこういった活動に参加させれば、卒業後も自分たちの強みを生かした“薬学×○○”という発想が生まれやすくなる」と、都築氏は強調する。
急速に進む少子化は薬学部にとっても他人事ではない。将来的に薬剤師が供給過剰になるという指摘もある。厚生労働省によれば、薬剤師の総数は2045年に43.2万~45.8万人となり、病院や薬局で必要な人数(33.2万~40.8万人)を最大で12.6万人上回る。
文科省は新設・定員増を認めない方針
こうした状況を受け、文部科学省は2025年度以降、原則として大学の6年制薬学部の新設や定員増を認めない方針を決め、定員割れの大学に対する助成金の減額や不交付など、入学定員の適正化に向けた動きを進める。
薬学部を取り巻く環境が厳しさを増し、少子化で他学部との競争も激しくなるなか、薬学部が“選ばれる学部”になるためには、受験生や保護者はもちろん、社会全体から見ても魅力的な学部であり続ける必要がある。
そのためには従来のやり方に留まらず、薬学部生の新たな活躍の場を開拓するなど、薬学部全体が変わることが求められている。
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