入学志願者の減少が止まらない「薬学部」の実態 人気復活のカギは就職先?「起業」する薬剤師も
学生争奪戦が激しくなるなか、各大学は薬剤師国家試験(国試)の合格率アップに力を入れる。
特に、留年せずに薬学部を卒業して国試に合格する、いわゆる「ストレート合格率」にこだわる。それが受験生や保護者へのアピール材料になり、入学志願者数が増えると信じているからだ。
問題は「ストレート合格率」ではない
だが、こうした動きに異を唱える学長がいる。日本薬科大学の都築稔氏だ。
「もちろん合格率が高いのに越したことはないが、ストレート合格率と入学志願者数にはさほど相関関係はない。それよりも、キャンパスの立地や競合校の影響のほうがはるかに大きい。合格率ばかりを気にするような状況が続けば、この国の薬学部の未来は先細る一方だ」と言い切る。
都築氏が大学運営で最も大切にしているのは、薬学部生の多様な就職先や新たな活躍の場の確保だ。
一般社団法人薬学教育協議会の調査によると、6年制の薬学部を2023年3月に卒業した学生は9629人で、就職先は保険薬局が2758人、ドラッグストアの調剤部門が1894人、医療機関が1998人。薬学部生のほとんどは、保険薬局、ドラッグストアの調剤部門、医療機関のいずれかに就職していることがわかる。
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