コスパ重視、職場で「ファスト・スキル」求める若者 働く若者が抱える「挑戦と保身」のジレンマ

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かといって、批判が飛び交うような職場や、がむしゃらに働かなければならないような業務を求めているわけではない。じっくり3年、5年とかけて身につけるような職人的下積みも、求めているわけではない。

要するに、今の若者の多くは、なるべく手軽に成長を実感したい、周りに遅れないよう効率的に職業人として通用する能力を身につけたい、という気持ちが強い。これが正確な表現だろう。

だからスキルや能力向上の機会を無視してこき使う職場を「ブラック」、逆に仕事量が少なく、身につく知識やスキルが少ないと感じる職場を「ゆるブラック」と評することになる。

矛盾を内包して生きる若者たち

また、「仕事でバリバリ稼ぎたい」、「やりがいを持って働きたい」というポジティブな理由ではなく、「日本の経済成長は見込めないから、若いうちからスキルや経験を求めなければ生き残れない」という、日本経済に対する期待感の低さも影響しているのでは? と考える人も多い。

検証してみよう。

確かに、今の若者にとって、長引く低成長の日本に対する期待感の低さや諦念感は強い。

また、先のパーソル総合研究所の調査では、「上の年代と比べ、従来の企業従属型ではなく主体的なキャリア形成を目指す価値観を身に付けている」と解説されている。

もし仮に、本当に多くの若者がそう考えているのだとすれば、もっと大勢の若者が日本を離れてしかるべきだ。大学に勤めている人間ならよくわかることだが、昔と比べて今の大学では海外留学支援の機会は多い。

にもかかわらず、そんな支援に学生が殺到している、といった状況を聞いたことがない。むしろ、支援提供者たちの方が、積極的に人集めしている印象だ。

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