「高血圧」が気になる高齢者に教えたい意外な真実 若者も高齢者も「140㎜/Hg以上」基準の疑問

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糖尿病治療のためには、このHbA1c値を基準値未満に抑えることが大事だというのですが、アメリカ国立衛生研究所の関連組織による試験では、従来の常識とは異なる結果が出ました。

計1万人の糖尿病患者を対象に、HbA1cを当時正常値とされていた6%以下に抑える強化療法群と、7.0~7.9%とする標準療法群の2つに分けて調査したところ、3年半後の死亡率は強化療法群のほうが高かったのです。

イギリスでも4万8000人を対象に同様の調査を実施したところ、やはりHbA1c値が従来の基準値を超える7.5%の時にもっとも死亡率が低くなりました。なおHbA1c値が11.0%まで上昇すると死亡率は、7.5%の時よりも79%上昇し、5.4%まで下げた時にも死亡率は52%上昇しています。

欧米人と日本人で体質は異なるものの、これらの調査の結果からは、HbA1cが基準値よりもいくらか高い、つまり「軽い糖尿症とされている人」のほうが長生きできるのだろうと予測できます。

2型糖尿病ならインスリンは原則的に不要

糖尿病には、膵臓からのインスリン分泌が低減することで発症する「1型」と、遺伝的な要因に過食や運動不足、肥満などが加わって発症する「2型」があり、日本人の糖尿病患者の95%以上が2型です。

1型の場合、血糖値を下げるためのインスリン注射を打たないと血糖値が急上昇して、その状態が続くと合併症を起こすおそれがあります。しかし、2型糖尿病の場合はインスリンを受け止めるレセプター(受容体)の故障が主な原因で、インスリン自体はきちんと分泌されることも多いので、原則的に注射は不要です。

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