「高血圧」が気になる高齢者に教えたい意外な真実 若者も高齢者も「140㎜/Hg以上」基準の疑問
実は日本で「140以上」を高血圧とする基準値が示された時、高齢者に関してはそこまで求められず、70代は150未満、80代は160未満なら正常とみなす緩めの診療目標が設定されていました。
高齢者の場合、年齢に伴い血管の弾力性が失われてきて血流が悪くなり、血管に対して血流の圧がかかりやすくなります。そのため全身の臓器に血液をいきわたらせるには、ある程度血圧が高くなければいけません。
若い時よりも血圧が高いからこそ、脳への血流も十分保たれて認知症にかかりにくくなりますし、認知症になっても症状の軽い元気な状態が続くと考えられるのです。それが今では、若年者も高齢者も一律で140未満を正常とする方針に転換されました。
そもそも、100歳以上は高血圧の人が多め
その一方、30年ほど前から100歳以上の人を対象とした研究を続けている慶應義塾大学医学部のデータでは、100歳以上では高血圧とされる人の多いことがわかっています。
世の中には「正常値絶対主義」で、血圧の数値を下げることを目的化している医者がたくさんいます。しかし、私が勤務していた当時の浴風会病院のデータだと、血圧130の人と150の人では生存曲線に差がありませんでした。
本来ならば厚生労働省が、日本人の血圧の正常値がどのくらいかという全国的な大規模調査を行うべきなのです。今はアメリカが135と言えば訳もわからずそれに従っていますが、おそらく日本の高齢者からすると、それが適正値ではないはずです。
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