電動車いすの女子高生が「就業体験」で見た"光景" 障害のある人の就労を考える企業の取り組み

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林屋さんのインターンシップを受け入れたのは、子ども・子育てに関する社会課題の解決に取り組む認定NPO法人フローレンス(千代田区)だった。 特に肢体不自由(身体障害の中でも身体や手足をうまく動かせない)のある学生を積極的に受け入れている。

文部科学省の統計によると、肢体不自由の学生数は、特別支援学校の卒業生のうち2番目に多いにもかかわらず、企業への就職率が6%(*2)に過ぎないことを同法人は懸念しているからだ。

林屋さんが担当した業務は資料のデータ化や名刺の登録で、学校の授業と同じように、タッチペンを口でくわえて作業した。今回は一文字一文字注意深く入力したため、名刺1枚に5分程度かかったが、タブレット型の端末をうまく使いこなしていた。

林屋さんはインターンの振り返りで「会社で自分の意見が言えるようになりたい」と話していた(写真:筆者撮影)

障害のある人の就労が当たり前の社会に

同法人の企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)の石橋恵さんは、「障害のある人が仕事に就くことを当たり前とする社会となるよう、まずは社内で多様性の実現を目指しています」と説明する。

取材日はインターンシップの最終日で、石橋恵さんと、同じくジョブコーチの和田直美さん、同校の進路指導コーディネーターの高橋佳菜子教員、林屋さんを囲んでミーティングの時間を持った。

林屋さんは、こう振り返った。

「職場で障害者も平等に働いている様子を見て、すごく驚きました。仕事については環境を整えてくださったため、今の自分の力を発揮できたと思います」

同法人では合理的配慮として、ビルの入り口の段差にスロープをかけたほか、林屋さんのために高さを調節できる机を用意した。事前の打ち合わせで、机の高さを合わせることができれば、昼食時に食事介助の必要はないと言われていたからだ。

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