推薦入試が5割で「一般入試枠が減少」へのギモン 何歳からでも大学で学べる機会が減る危機

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ちなみに「推薦入試」入学者50.3%の内訳は、志望理由書や面接、小論文などで受験生を選抜する「総合型選抜(旧:AO入試)」が19.3%、大学側が高校に推薦枠を用意して大学の面接に進む指定校制推薦と、評定平均や書類、小論文に加えて学校の科目も課される場合もある公募制推薦からなる「学校推薦型選抜(旧:推薦入試)」が31.0%だ。

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推薦入試 一般入試
(図表:『大学入学者選抜の実態の把握及び分析等に関する調査研究』より抜粋)

この傾向は加速し、今後はもはや「推薦入試」のほうが”一般的な”受験になっていくと考えられている。

なぜこうした選抜方法が主流になってきたのだろうか。また、それによってどんな利点・問題点が生じるのだろうか。

※なお、この記事では便宜上、一般選抜を「一般入試」、総合型選抜・学校推薦型選抜を「推薦入試」とする。

推薦への批判のいくつかのパターン

まず、筆者の周囲の一般入試経験者は、推薦入試の増加についてどう思っているのか。

20代、30代、40代、50代と各世代の一般入試を経験した4人にたずねてみたところ、「推薦入試自体を否定するわけではないが、増加については反対」「推薦を増やすのであれば、多くが現役生対象なので、現役生以外の入試も同時に増やすべき」「多様性を大事にする世の中でありながら、大学入学の門戸を狭めると思うので、反対」「推薦でとにかく入れればいい、と思っており、本当に将来のことまで考えているか疑問」などの声があがった。

上記の意見からも推察できるように、推薦入試への批判はいくつかのパターンがある。

「生徒の学力を担保できない」、「採点基準が不明確」などに加えて、近年とりわけよく聞かれるのが「志望理由書や面接で必要な経験はお金で購入できるため、富裕層が断然有利になる」という金銭面の格差の拡大を懸念する類の意見である。

現状推薦入試は、大学進学の経済格差をさらに助長するのではないかという見方が多い。しかし、この考え方は実際のところは正しいのだろうか。

実は、近年では研究が進み、入試改革が入学者の格差是正につながっている可能性を示すデータもいくつか示されてきている。

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