「すぐやる」組織がはまりがちな思考停止の罠 実行することばかり重視するチームの危うさ

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そして、行動に移す準備ができたと上官が判断したら、思考モードから行動モードに切り替える。

行動に移すと決まったら、バリエーションは敬遠され、正確さが求められる。ここでは、決まった手順に従うのだ。

行動に取り組んでいるときは、できるだけ定められたとおりにやることが望ましい。

魚雷の装填を例に考えてみる

魚雷の装填を例にあげよう。魚雷は1本ずつまったく同じように装填されるのが常だった。肉体的にはきつい仕事だ。

しかし、どの魚雷をどの発射管にいつ装填するかを決めることに比べれば、頭脳労働はあまり必要とされない。

魚雷の装填といった作業の実施には、必然性や達成感が生まれる。そのため、こうした作業に人はのめり込みやすい。「やり遂げた」ことで生まれる高揚感に丸め込まれてしまうのだ。

だが、反省することなく何度も業務を完遂させていると、次第に、やり遂げても何も感じなくなってしまう。

バリエーションを歓迎する状況では、「開かれた」「好奇心をそそる」「可能性がある」「改善に目を向けた」といった言葉が使われる。

あるいは、「どうすればわかる?」や「どの程度安全なのか?」といった問いかけとなり、好奇心や弱さが言葉に表れる。

誰もが同じことを考えていれば、バリエーションは少ない。

そういう状況は、「意見の一致」という言葉で表されることがある。これは、肯定的な意味で使われるのが一般的だ。

だがこれは、バリエーションがなくなったということでもある。人々の意見が異なるとき、とりわけ反対意見が出るときは、バリエーションが豊富な状況だ。

人はものを考えるときにバリエーションを望まない。多様な意見を歓迎し、意見の一致を避けるべきときでも、リーダーは意見を一致させようとすることが多い。

そうしておきながら、チーム内から新たなアイデアが出てこないのはなぜだろうと首をかしげる。

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