「すぐやる」組織がはまりがちな思考停止の罠 実行することばかり重視するチームの危うさ

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人はなぜ、バリエーションを減らしたがるのか? 

まず、選択肢が増えれば、そのぶん認知的なハードルが上がるという点があげられる。要は考慮しなければならない要素が増えるのだ。これは大変な作業だ。

人の脳は労力を最小限にとどめるように配線されているので、そうした大変な作業を拒む。買い物客に多すぎる選択肢を提示すれば、その客は何も買わない。

行動モードのときは、意見の多様性は組織の敵になる

だが、それ以上に重要な理由として、バリエーションは、つねに組織の重要事項とされてきた、「行動」の敵になるという点があげられる。

バリエーションが増えることは、思考の際にはメリットになる。逆に、行動の際は、バリエーションを減らすことがメリットになる。

この違いは重要だ。例をあげよう。

米海軍で屈指の潜水艦艦長による「最強組織」の作り方
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●パーツを製造する場合、どのパーツも可能な限り同じでないといけない。製造業にとって、ばらつき(バリエーション)は過失となる。

●潜水艦を動かす乗員は、手順に忠実であることが求められる。手順を勝手に変えるのは違反行為となる。潜水時、「ハッチを閉じる」が先で「潜水する」が次となり、この順序を逆にすると過失となる。

●ファストフード店で出すハンバーガーは、顧客の要望がない限りはどれも同じでないといけない。ファストフード店では標準化が勝つ。

バリエーションを減らす言葉は、結果を重視し、ひとつのことに意識を向けさせようとする。つまり、やり方と手順の厳守を徹底させるということだ。

そのため、「このやり方で実行しろ」や「間違いない」といった言い方になる。

バリエーションを減らすための言葉は、制御と服従を促す。

意思決定(考えること)と実行(行動すること)は種類が異なる仕事であり、バリエーションのとらえ方も正反対になる。

よって、意思決定と実行ではまったく異なる頭の使い方が必要になり、使う言葉の種類も変わる。

あなたも、バリエーションを歓迎すべき時に、それを打ち消すような言い方をしないよう気をつけよう。

L デビッド マルケ 米海軍攻撃型原子力潜水艦「サンタフェ」元艦長

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るいす でびっど まるけ / Louis David Marquet

全米屈指のエリート校である海軍兵学校をトップで卒業し、1999年から2001年まで米海軍の攻撃型原子力潜水艦「サンタフェ」の艦長を務める。海軍内で最低の評価を受けていた「サンタフェ」をたった1年で最高評価の艦に生まれ変わらせ、そのリーダーシップは、ロングセラー『7つの習慣』の著者であるコヴィー博士の激賞を受ける。「サンタフェ」で何が起きたかを自ら書き記した『米海軍で屈指の潜水艦艦長による「最強組織」の作り方』は日米で話題作となる。退役後は、リーダーシップに関するコンサルタントとして活躍。

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