「災害医療チーム」を通して見えた能登地震の課題 DMAT派遣数は東日本大震災の3倍の1000隊超え

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金沢市内の病院から戻った伊藤氏らの、この日の最後の仕事は、夜勤。夜勤はほかのDMAT隊と交代で務める。伊藤氏らは深夜から午前8時までを担当した。

■1月8日(月)午前6時

翌日の天気は雪。夜勤中の伊藤氏らも病院救急車の周辺の雪かきにあたる。山本医師は、未明から雪が降り積もり、とても冷えて寒かったと、その日の朝を振り返る。

穴水総合病院の駐車場、8日の朝(写真:伊藤氏撮影/つくばセントラルDMAT提供)

伊藤氏らのDMAT隊が被災地支援に当たった時期は、震災から1週間が経過していたため、震災直後に倒壊した家屋から救出された人などが搬送されることはなかった。

体調が悪くなる被災者が増えていく

一方で、避難所でだんだん体調が悪くなった人が増えていた。

山本医師は、「新型コロナやインフルエンザになった被災者が多く、トイレを我慢したために尿路感染症にかかる高齢者や、食欲不振で脱水症状となった人が救急搬送されてきた。自宅や高齢者施設から搬送されてきたケースでは、がんが進行した患者もいた」と話す。

穴水総合病院救急処置室(写真:伊藤救命士撮影/つくばセントラルDMAT提供)
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