福岡市の不便なところは「区役所の出張所がないこと。その点では行政サービスに課題があると思う」と指摘する一方で、病院のサービスは素晴らしいとの評価でした。
がんの治療や検査のため、東京でも福岡でも何度も病院を利用した経験から、「東京で半日かかる通院が、福岡では1時間半で済む」と語る実体験は説得力を持っていました。検査や治療というよりも、治療、会計のための待ち時間が短いことが大きいようです。
がん治療のように、その後の倦怠感などを考慮すると、半日かかる通院は結局1日会社を休むことになりますが、通院が1時間半なら半日で済むというわけです。医療サービスというのは、単に医者の数や病院における高度な治療といったものだけでなく、その周辺のサービスも含めて医療サービスなのだとつくづく感じるエピソードでした。
「地方には医者が足りない」は本当か
地方にまつわる懸念の1つとして医者不足が挙げられることがありますが、はたして本当でしょうか。
厚生労働省による2020年の「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、10万人当たりの医者数は全国平均で269.2人でした。これを都道府県別にランキングにしてみると、第1位は徳島県の356.7人、第2位が京都府の355.1人、第3位が東京都の342.2人です。
4位以下の都市を順番に挙げると、鳥取県、長崎県、高知県、岡山県、福岡県、和歌山県、島根県、熊本県、石川県、香川県、佐賀県で、ここまでが10万人当たり300人以上の医者がいる都府県です。想像とは違って、三大都市圏ではないところが上位にランクインしていることがわかります。また比較的西日本に医者が多いとも感じます。
もちろん医療は量だけでみるものではなく、質も大切です。質のデータはなかなか見つかりませんが、フィンウェル研究所が行った「60代6000人の声」調査(2023年、人口30万人以上で都道府県庁が所在する34都市対象)では、居住している都市のいい点、課題点を複数回答可で挙げてもらっています。そのなかでいい点として「医療体制が意外に充実していること」、課題点として「医療体制が十分でないこと」を挙げた人の比率を取ってみました。
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