東大王とAIが「クイズで対決」ガチンコ勝負の結末 人間も驚く能力の高さと欠点が浮き彫りに
1回目の大会ではAIが20択の択一問題に挑戦し、優勝したチームの正解率が9割を超えたため、2回目は選択肢なしで回答する問題形式に移行。そのルールでも2022年の第3回大会で上位チームが正解率9割以上に達し、「与えられた問題に正答するという能力は行き着くところまで到達した」(鈴木さん)ことから、ルールの見直しが不可避になった。
第3回大会期間中には、AIの世界に歴史的な革命も起きた。OpenAIが膨大な量のテキストデータを学習した大規模言語モデル(LLM)をベースとした対話型AIサービスChatGPTをリリースしたのだ。
鈴木さんはその影響を、「これまで不可能だったレベルの流暢な文章の生成ができるようになり、自然言語処理技術の応用の可能性が大きく広がった。一方で、もっともらしいフェイクを出力するという課題も顕在化した」と説明した。
ChatGPT登場でルール見直し
ChatGPTに代表されるLLMの登場という技術革新を踏まえ、2023年から2024年にかけて開催された第4回「AI王」は内容を大きく見直し、「早押し」と「問題作成」の2部門で競うことにした。
「早押し解答部門」は、従来の「問題文をすべて与えられたうえで解答を導くペーパーテストスタイル」から一歩進み、「ノーベル平和賞を受賞したこともある『MSF』と略される国際医療ボランティア団体は何?」というように、少しずつ回答候補が絞られていく設問において、先の文章を予測しできるだけ早い回答を競う。
問題作成部門は、LLMを活用する前提で「嘘がなく、面白いクイズ問題」をどの程度自動生成できるかを競った。同部門は、今大会から実行委員に加わった半導体メーカー大手キオクシアで、半導体工場でのデータ分析技術を生かしてクイズを自動生成するAIを開発した社員らが、競技ルールや審査基準を監修した。
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