実は経済学は、実験研究が盛んな分野の1つである。もちろん、試験管を振ったり顕微鏡をのぞき込んだりはしない。例えば実用に堪えるオークションを設計するため、被験者を実験室に招き、実際に模擬オークションに参加してもらって、その行動が理論予測どおりかどうかを確かめる。
神は細部に宿るというように、理論上は重要でない細かな要因が人間の行動に大きな影響を及ぼすことはしばしばある。精緻な制度設計には実験研究が欠かせない。
筆者は近頃オークション実験に携わり始め、実験がお金と労力のかかる研究手法だと実感するようになった。実験時には被験者への謝金が必要だが、まず被験者を集めるのが一苦労である。煩雑な手順を踏んで被験者を確保しても、実験当日に急なキャンセルが生じて欠員が出ることは頻繁にある。被験者数が予定数に達せず、実験が頓挫することもありうる。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
ログイン(会員の方はこちら)
無料会員登録
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら